たちばなさんのにちじょう

某SMクラブのスタッフで元キャストで大学生でたぶんマゾヒスト

普通の人間が一番怖い / 『リカ』(五十嵐貴久)の読書感想文

『リカ』という小説を読んだ。
著者は、五十嵐貴久。他の作品は読んだことがない。

あらすじなんかは面倒なので割愛する。ぐぐってください。
ものすごく簡単に説明すると、出会い系サイトでとんでもないストーカー女と出会って、恐怖のどん底に突き落とされる話。
続編も出てるらしい。

以下ネタバレも含みつつの感想。
ネタバレは嫌よという方は回れ右です。







作中に出てくるリカという女。とにかく狂ってる。
ただ、現実味がない。
白目がないとか、腐ったような臭いがするとか、泥のような顔色とか、タクシーに追い付いちゃいそうな脚力の持ち主とか、致命傷を負っても平気で動き回るとか、確かに怖い。
しかし、ただ怖いだけで、現実味がない。
幽霊よりも怖いのは生身の人間だと私は信じてる。
それを如実に表現したのは、貴志祐介の『黒い家』だったと思う。あれは本当に怖かった。怖かったというか、とにかくおぞましかった。
それに対して『リカ』は、確かに怖いのだけれども、おぞましさはない。
というのも、リカという女が、生身の人間として描かれているのか、現実にはあり得ない存在として描かれているのかが見えてこないせいだと思う。
執拗な伝言メッセージや膨大な数のメールに象徴されるような生身の人間の狂気的な側面を描いたかと思えば、人間離れした身体能力や生命力といった現実の人間にはあり得ない側面を描く。
おそらくは、生身の人間でありながら人間的ではないという恐怖感を演出しようとしたのだろうけど、どうにもうまくいっていないように思える。
どうせなら、ごく普通の女が、少しずつじわりじわりと狂気を孕んでくるような展開にしてほしかった。
生身の人間の中でも最も恐ろしいのは、どこにでもいる普通の人間なのだから。

偉そうにあれこれ語ってみたけど、要するに好みじゃなかったってだけですね、はい。
気が向いたらまた小説のレビューでも書いてみるよ。